建設会社が「技人国」で雇える仕事・雇えない仕事|施工管理はOK、現場作業はNGの線引き

技人国

外国人の採用を検討している建設会社から、よく聞かれる質問があります。

「大学を出た優秀な人材がいるらしいけど、うちで働いてもらえるの?」

答えは、「実際に任せる仕事の中身による」です。

同じ建設会社、同じ工事現場で働いていても、施工管理として工程や品質を管理するのか、職人として型枠や鉄筋などの作業をするのかによって、在留資格上の扱いは変わります。

求人票に「施工管理」と書いてあればよい、というものでもありません。実際の仕事内容が在留資格に合っていなければ、在留期間の更新で問題になったり、状況によっては不法就労助長に問われる可能性もあります。

この記事では、在留資格「技術・人文知識・国際業務」(以下、技人国/ぎじんこく)で、建設会社が外国人に任せられる仕事と任せられない仕事の線引きを、出入国在留管理庁が公表している考え方や許可・不許可事例をもとに解説します。

📋 目次(タップで開閉)▼ 開く/閉じる

📋 この記事でわかること

  • 建設業で技人国の外国人に任せられる仕事
  • 技人国では任せられない現場作業
  • 施工管理として現場に入る場合の線引き
  • 入社後の実務研修が認められる条件
  • 技人国で不許可になりやすいケース
  • 採用前に企業が確認しておきたいポイント

01. そもそも技人国とはどんな在留資格?

技人国は、大学などで学んだ専門知識や、一定の実務経験を活かして専門的な仕事に就くための在留資格です。正式名称は「技術・人文知識・国際業務」で、大きく3つの分野に分かれています。

分野 建設業でのイメージ
技術 土木・建築・機械・電気などの工学系知識を使う仕事(設計、施工管理、測量、CADなど)
人文知識 法律・経済・経営などの知識を使う仕事(総務、経理、人事など)
国際業務 外国の文化や語学力を活かす仕事(翻訳・通訳、海外取引など)

建設会社で外国人を施工管理、設計、CADなどの技術職として採用する場合は、主に「技術」に該当するかを確認することになります。

本人側の主な条件

主な要件は次のとおりです。

  • 学歴:従事する仕事に関連する科目を専攻して大学等を卒業していること、または日本の専修学校の専門課程を修了し、所定の要件を満たしていること
  • 実務経験:学歴の要件を満たさない場合、技術・人文知識では原則10年以上の関連する実務経験
  • 専攻と仕事の関連性:学校で学んだ内容やこれまでの経験と、日本で担当する仕事との間に関連性があること

※「専門士」は、日本国内の専修学校専門課程の修了者を対象とする制度です。海外の専門学校卒というだけでは、この「専門士」ルートには該当しません。ただし、海外の教育機関で受けた教育が大学卒業と同等以上の教育に当たるかどうかは、教育課程・修業年数・取得学位などを含めて個別に確認する必要があります。

会社側の主な条件

企業側についても確認されるポイントがあります。

  • 日本人が同じ仕事をする場合と同等額以上の報酬であること
  • 事業に継続性・安定性があること
  • 外国人に任せる専門的な業務が実際に存在すること

この中で特に注意したいのが給与です。実際に入管が公表している不許可事例には、同時期に採用された日本人新卒社員より外国人の給与が明らかに低かったため、要件を満たさないと判断されたケースがあります。

「外国人だから給与を低く設定できる」という制度ではありません。

02. 建設業で技人国の外国人に任せられる仕事

建設会社だから技人国が使えない、ということではありません。大切なのは、会社の業種ではなく、本人が実際に担当する仕事内容です。

出入国在留管理庁が公表している許可事例には、例えば次のようなケースがあります。

  • 建築工学を専攻して大学を卒業した人が、建設会社で建設技術の研究や建設事情の調査に従事
  • 社会基盤工学を専攻した人が、土木・建設コンサルタント会社で研究開発・解析・構造設計に従事
  • 日本の専門学校で建築室内設計を学んだ人が、建築積算業務に従事
  • 電気工学を学んだ人が、工事施工図の作成や現場職人への指揮・監督に従事

建設会社で技人国として検討できる代表的な仕事を整理すると、次のようになります。

分類 具体的な仕事
施工管理 工程管理/品質管理/安全管理/原価管理
設計・技術 建築・土木・設備等の設計/CADオペレーター/施工図の作成/測量/積算/技術開発/BIM・CIM関連業務
国際業務 翻訳・通訳/海外取引
管理部門 総務・経理・人事などの専門業務

ここで注目したいのが、「現場職人の指揮・監督」も許可事例に含まれていることです。

💡 結論

「技人国の外国人は建設現場に入ってはいけない」という理解は正確ではありません。施工管理として現場へ行き、工事の進捗を確認したり、職人へ指示を出したりすることはあり得ます。

問題になるのは、現場にいることではなく、そこで何をしているかです。

03. 建設業で技人国では任せられない仕事

一方で、技人国は専門的な技術・知識を使う仕事を対象とする在留資格です。そのため、次のような現場作業を主な仕事として行うことは、原則として技人国の対象にはなりません。

  • 型枠の組立・解体/鉄筋の組立/とび作業
  • 左官/内装作業/解体作業
  • 資材運搬/清掃・片付け
  • 交通誘導・警備
  • 重機の運転そのものを主な仕事とする業務
  • 反復訓練によって身につける技能的な作業

入管が公表している不許可事例を見ると、この線引きが分かりやすくなります。例えば、

  • 弁当工場で箱詰め作業を行う
  • バイクのフレーム修理やタイヤ交換を行う
  • 電気部品工場で加工・組立・検査・梱包を行う

といった仕事について、専門的な技術・知識を必要とする業務とは認められず、不許可となった事例があります。特に電気部品工場の事例では、そこで働いていた技能実習生とほぼ同じ仕事をする内容だったことも問題となっています。

これは建設会社でも同じです。例えば同じ会社で、特定技能外国人・技能実習生・技人国の外国人施工管理が働いていたとして、技人国の人まで職人と同じ作業を恒常的に行っていれば、「本当に専門職として採用しているのか?」という疑問が生じます。

線引きを簡単にいうと

現場に「行く」のはOK。現場作業に「入る」のは原則NG。

⭕ これは施工管理業務です

図面を持って現場へ行く → 工事の進捗を確認する → 施工写真を撮影する → 出来形を確認する → 職人に指示を出す

❌ これは技人国の施工管理とは別の業務です

スコップを持って掘る → 資材を運ぶ → 鉄筋を組む → 型枠を組む

04. 「最初の1年は現場作業を経験させたい」は認められる?

これも建設会社ではよく出る疑問です。日本人の新入社員でも、入社初日から施工管理を一人で任されるわけではありません。まず現場を知ってもらい、仕事の流れを覚えてもらう。これは外国人についても合理的な考え方です。

入管も、一定の条件を満たす場合には、入社当初の実務研修として、本来の技人国業務以外の仕事を一時的に経験することを認める考え方を示しています。

実務研修として考えられる主な条件

  1. 日本人の大卒社員などにも同じ研修を実施していること
  2. 技人国として働く期間全体の中で、研修が大半を占めないこと
  3. 研修後に技人国に該当する専門業務へ移行することが明確になっていること

重要なのは、「研修です」と言えば何でも認められるわけではないということです。例えば、

「とりあえず数年間は職人として働いてもらい、仕事ができるようになったら施工管理にします」

という曖昧な計画では、専門業務へ移行することが明確とは言いにくくなります。研修を行う場合は、

  • 何か月間行うのか
  • 何を学ぶのか
  • その後どの仕事へ移行するのか

をあらかじめ整理しておくことが重要です。

日本人と同じ研修かどうかも重要

外国人だけに長期間の現場作業をさせ、日本人の新卒社員は最初から施工管理をさせている。このような場合は、「日本人社員と同じ新人研修」という説明が難しくなります。

外国人だから現場作業を長く経験させるのではなく、会社としての新人教育の一部として行われているかがポイントになります。

05. 技人国で不許可になりやすい5つのパターン

これまでの内容を整理すると、建設会社が技人国の外国人を採用する際に注意したいのは、次の5つです。

1.外国人だけ給与が低い

技人国では、日本人が同じ仕事をする場合と同等額以上の報酬であることが求められます。「海外から来る人だから少し安くてもいいだろう」という考え方は避けましょう。

2.技能実習生・特定技能外国人と同じ作業をしている

施工管理として採用したにもかかわらず、実際には型枠・鉄筋・資材運搬などを職人と一緒に行っている場合、専門職としての説明が難しくなります。求人票の職種名ではなく、実態が見られます。

3.専攻と仕事の関連性を説明できない

例えば、大学で学んだ内容と、入社後に担当する専門業務との関連性がほとんどない場合です。特に専門学校卒業者の場合などは、専攻と仕事内容の関連性をしっかり確認しておく必要があります。

📎 外国人施工管理として採用できる学歴・専攻・実務経験については、外国人施工管理は誰を採用できる?技人国の要件・専攻・実務経験を解説で詳しく解説しています。

4.技人国に該当する仕事の業務量が足りない

「施工管理として採用します」と説明していても、実際には施工管理の仕事がほとんどなく、勤務時間の多くを現場作業に充てるのであれば問題になります。

小規模な建設会社の場合は特に、「本当に施工管理として1人雇えるだけの業務量があるのか」も考えておきたいポイントです。

5.研修期間やその後のキャリアが曖昧

「まず現場作業をやってもらい、できそうなら施工管理にします」という計画ではなく、「入社後○か月は新人研修、その後は施工管理補助として○○を担当する」というように、専門業務へ移行する流れを明確にしておくことが重要です。

06. 外国人を採用する前に確認しておきたいこと

技人国の外国人を採用するときは、人材が見つかってから仕事内容を考えるのではなく、求人を出す前に、外国人に何を任せるのか整理することをおすすめします。

例えば施工管理として採用するのであれば、次のような点を確認してみてください。

■ 仕事内容

  • 建築・土木・設備など、どの施工管理を担当してもらうか
  • 工程管理・品質管理・安全管理など、具体的な仕事内容が決まっているか
  • 専門業務の仕事量を十分確保できるか

■ 本人との関連性

  • 大学・学校で何を専攻しているか
  • 専攻と施工管理業務につながりがあるか
  • 必要に応じて卒業証明書・成績証明書を確認できるか

■ 社内体制

  • 現場作業員の人手不足を補うための採用になっていないか
  • 現場の職長や社員も「任せていい仕事・いけない仕事」を理解しているか
  • 新人研修を行う場合、期間や内容が決まっているか

■ 労働条件

  • 日本人と比較して不当に低い給与になっていないか
  • 雇用契約書と実際の仕事が一致しているか

特に建設会社では、入社後に現場から「今日は人が足りないから、ちょっと手伝って」と言われることがあります。しかし、外国人本人は断りにくいものです。

外国人本人だけに説明するのではなく、現場で一緒に働く日本人社員や職長にも、任せられる仕事の範囲を共有しておくことが大切です。

07. まとめ|「現場にいるか」ではなく「現場で何をしているか」

技人国について、「外国人は建設現場に入れない」と思われていることがありますが、これは正確ではありません。

施工管理として、次のような目的で建設現場へ行くこと自体は、施工管理の仕事として考えられます。

  • 図面を確認する/工程を確認する
  • 品質を管理する/安全を管理する
  • 施工写真を撮影する
  • 職人へ指示を出す
  • 協力会社と打ち合わせをする

一方、型枠を組む、鉄筋を組む、資材を運ぶ、解体作業をするといった現場作業を主な仕事として行うのであれば、技人国の施工管理とは異なります。

📌 この記事のポイント

一番大切なのは、「現場にいるか」ではなく、「現場で何をしているか」です。

そしてもう一つ大切なのが、「誰を採用するか」と「何を任せるか」をセットで考えること。建築や土木を学んだ外国人だからといって、どの建設業務でも任せられるわけではありません。

本人が学んできた専門分野と、企業が実際に担当してもらう仕事を採用前に整理しておくことが、企業にとっても外国人本人にとっても大切です。

📚 外国人施工管理について、あわせて読みたい記事

「どんな学歴・専攻の人なら採用できる?」「大学を出ていないとダメ?」という疑問については、外国人施工管理は誰を採用できる?技人国の要件・専攻・実務経験を解説で詳しく解説しています。

「施工管理ならN2が必要?」「N3でも採用できる?」「面接では日本語のどこを見ればいい?」という日本語力については、外国人施工管理に必要な日本語力は?N2が必要?採用時に見るべきポイントを解説をご覧ください。

📩 外国人施工管理の採用でお困りの企業様へ

「外国人施工管理を採用してみたいけれど、どんな仕事を任せられる?」
「この仕事内容で技人国として採用できそう?」
「どんな専攻の人を募集すればいい?」
「外国人を初めて採用するので、受入れ方から相談したい」

といった段階からでも構いません。みらいリンクでは、建設業でのバックオフィス実務や外国人受入れの経験をもとにご相談を承っています。採用してから「想定していた仕事を任せられなかった」とならないよう、求人を出す前に仕事内容や採用条件を整理しておくことが大切です。

📧 info@ny-partners.jp / 📞 080-2156-4599

無料相談はこちら

※在留資格の許可・不許可は、本人の学歴・履修内容・職歴、実際の職務内容、企業の状況などをもとに個別に審査されます。本記事は一般的な制度の説明です。具体的な在留資格申請については、出入国在留管理庁または申請取次資格を持つ行政書士等の専門家へご確認ください。

【参考資料】

出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」

出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」

出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務の許可事例・不許可事例」

国土交通省「外国人建設技術者の採用・定着に向けたハンドブック 第2版(2026年3月)」

✍ 著者:みらいリンク

建設業のバックオフィスに12年、外国人材の支援に8年携わってきました。千葉県で登録支援機関「みらいリンク」を運営しています。制度の話を、現場の目線でわかりやすくお伝えします。