「外国人介護人材を採用したいけれど、何から始めればいいの?」
初めて外国人材を受け入れる介護事業所では、このように感じることも多いのではないでしょうか。この記事では、介護事業所が特定技能外国人を採用するときの流れを、初めての方にも分かりやすく解説します。
外国人介護人材には、次のように複数の制度があります。
- EPA
- 在留資格「介護」
- 技能実習
- 特定技能1号
このうち、現在、人手不足への対応として広く活用されているのが特定技能1号「介護」です。厚生労働省の資料でも、特定技能1号は「人手不足対応のための一定の専門性・技能を有する外国人の受入れ」を目的とした制度として位置付けられています。
01. まずは自社で受け入れできるか確認する
最初に確認したいのが、「自社の事業所で特定技能外国人を受け入れられるか」です。
介護分野の特定技能外国人を受け入れる事業所は、介護福祉士国家試験の受験資格において、実務経験として認められる介護業務を行う事業所である必要があります。
特定技能外国人が主に行う仕事は、次のような身体介護です。
- 入浴介助
- 食事介助
- 排せつ介助
- 移動介助
- 整容・着替えの介助
また、レクリエーションや物品補充など、日本人介護職員も通常行っている関連業務であれば、付随的に担当することもできます。
⚠️ 注意ポイント
関連業務だけを専門に行わせることはできません。基本はあくまで介護業務です。
02. 何人まで受け入れられるか確認する
介護分野では、特定技能外国人を何人でも採用できるわけではありません。事業所ごとに人数枠があります。
👥 人数枠の考え方
特定技能1号外国人の人数が、日本人等の常勤介護職員数を超えないこと。例えば、常勤の介護職員が10人いる事業所であれば、特定技能1号外国人の受入れ人数は原則として10人まで、という考え方です。
ただし、この人数計算には、事務職員や通常の看護師などが含まれないケースがあります。
人数枠を確認するときは、「事業所の全従業員数」ではなく、「介護職員として算定される常勤職員数」を見る必要があります。
03. どのような外国人を採用できる?
特定技能1号「介護」で働く外国人は、一定の介護技能と日本語能力を備えている必要があります。基本的には、次の要件を満たした人材が対象になります。
| 介護技能 | 介護技能評価試験 |
| 介護の日本語 | 介護日本語評価試験 |
| 一般の日本語 | 国際交流基金日本語基礎テスト または 日本語能力試験N4以上 |
つまり、まったく日本語ができない人を採用して、来日してから一から覚えてもらう制度ではありません。一定の日本語力と介護の基礎知識を確認したうえで採用します。
一方で、介護職種の技能実習2号を良好に修了した人などは、一定の試験が免除される場合があります。
04. 人材を募集・面接する
受入れ条件を確認したら、次は人材探しです。大きく分けると2つの方法があります。
🇯🇵 国内にいる外国人を採用する
現在ほかの介護事業所で働いている特定技能外国人や、技能実習から特定技能へ移行する人材などが候補になります。
✈ 海外から外国人を採用する
日本語や介護の試験に合格した人材などから採用を進めます。
面接では、資格や日本語力だけでなく、次のような点も確認しておくことが大切です。
- なぜ日本で働きたいのか
- なぜ介護を選んだのか
- 夜勤に対応できるか
- 長く働きたいと考えているか
- 将来どのようになりたいか
介護では、利用者とのコミュニケーションが仕事の大きな部分を占めます。そのため、「N4を持っているから大丈夫」ではなく、実際に会話をしてみることをおすすめします。
05. 採用条件を決めて雇用契約を結ぶ
採用したい人材が決まったら、雇用条件を確認して契約を進めます。次の点について、外国人本人にも理解できるように説明しておくことが重要です。
- 給与
- 勤務時間
- 休日
- 夜勤
- 勤務地
- 業務内容
- 住居
入社後にトラブルになりやすい認識のずれ
「聞いていた仕事と違った」
「夜勤があるとは知らなかった」
「給与から何が引かれるのか分からない」
採用前の段階で、できるだけ具体的に説明しておきましょう。
06. 介護分野の特定技能協議会に加入する
ここは、初めて受け入れる事業所が見落としやすいポイントです。
⚠️ 申請前の加入が必要です
介護分野で特定技能外国人を受け入れる場合、在留資格の申請をする前に「介護分野における特定技能外国人の受入れに関する協議会」へ加入する必要があります。現在は、初めて特定技能外国人を受け入れる場合でも、在留諸申請の際に協議会の構成員であることを証明する書類が必要です。
そのため、「外国人を採用してから考えればいい」ではなく、採用活動と並行して、事業所側の準備も進めることが大切です。
07. 支援計画を準備する
特定技能1号外国人を受け入れる場合、仕事だけでなく、日本での生活についても支援する必要があります。例えば、次のような支援です。
- 日本で生活するための説明
- 住居や生活に関する支援
- 行政手続き
- 相談対応
- 定期的な面談
企業自身で支援体制を整える方法もありますが、難しい場合は登録支援機関に支援を委託することもできます。
特に初めて外国人を受け入れる企業では、採用手続きと、入社後の支援を分けて考えることがポイントです。
人材を採用できても、支援体制が整っていなければ受入れは進められません。
08. 在留資格の申請をする
必要な準備が整ったら、出入国在留管理局へ特定技能の在留資格に関する申請を行います。海外から新しく来日する外国人と、すでに日本にいる外国人では、申請の種類が異なります。
また、介護分野では、分野独自の確認書類があります。
- 介護分野の誓約書
- 事業所概要書
- 協議会の構成員であることの証明書
そのため、採用が決まってから慌てて書類を集めるのではなく、事前に準備しておくとスムーズです。
09. 入社前に「受入れ側」の準備をする
外国人を採用するとき、外国人本人への日本語教育や生活支援に目が向きがちです。しかし、実際の職場では、受け入れる日本人スタッフ側の準備も重要です。
例えば、次のような工夫だけでも、コミュニケーションは変わります。
- 簡単な日本語で話す
- 一度にたくさん指示を出さない
- 分からないときに質問できる担当者を決める
介護現場では利用者の安全にも関わるため、分かったつもりにさせない仕組みをつくることが大切です。
採用前に、次の点を職員間で共有しておくことをおすすめします。
- 外国人スタッフが来ること
- どの程度の日本語力なのか
- どのように指導するのか
10. 入社後は「採用」より「定着」が大切
外国人材は、採用できれば終わりではありません。むしろ、入社してからがスタートです。最初の数か月は、次の点を細かく確認していくことが大切です。
- 仕事の指示が理解できているか
- 日本人スタッフとの関係はどうか
- 生活面で困っていないか
- 将来への不安はないか
小さなすれ違いをそのままにすると、外国人本人だけでなく、日本人スタッフ側にも不満がたまってしまうことがあります。
そのため、外国人だけを支援するのではなく、外国人と受入れ企業の双方を支援するという視点が重要になります。
特定技能外国人受入れの流れをまとめると
大まかな流れは、次のとおりです。
初めて外国人を受け入れる場合は、「外国人を探す」ことから始めるより、まず自社が受入れ可能かを確認し、その後に採用活動へ進む方がスムーズです。
訪問介護でも特定技能外国人を受け入れられる?
現在は、一定の要件を満たせば、特定技能外国人が訪問系サービスに従事することも可能になっています。
ただし、施設介護と比べて要件は厳しく、原則として介護事業所等で1年以上の実務経験を持つ外国人が対象です。
さらに、次のような環境整備も求められます。
- 訪問介護に関する講習
- サービス提供責任者等による同行
- キャリアアップ計画
- ハラスメント対策
- 緊急時の連絡体制
訪問介護での採用を検討している場合は、通常の施設介護とは別に要件を確認しておきましょう。
📌 まとめ|最初に「受入れできる状態」をつくりましょう
外国人介護人材の採用というと、「どこから人を紹介してもらうか」に目が向きがちです。
しかし、その前に確認しておきたいのが、自社が特定技能外国人を受け入れられる状態になっているかということです。
受入れ人数、協議会への加入、支援体制、雇用条件などをあらかじめ整理しておけば、その後の採用もスムーズになります。
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「外国人を採用したいけれど、何から始めればいいか分からない」
「自社が特定技能外国人を受け入れられるのか確認したい」
「採用後の支援まで相談したい」
初めて外国人材の採用を検討される段階でも、お気軽にご相談ください。
※本記事は2026年9月時点で確認できる制度資料をもとに作成しています。制度・運用は変更される可能性がありますので、実際の申請時には最新の公表情報をご確認ください。
✍ 著者:みらいリンク
建設業のバックオフィスに12年、外国人材の支援に8年携わってきました。千葉県で登録支援機関「みらいリンク」を運営しています。制度の話を、現場の目線でわかりやすくお伝えします。


