「人が採れない」——建設会社の社長さんとお話しすると、必ず出てくる言葉です。
ただ、この記事でお伝えしたいのは「大変ですね」という話ではありません。国が公表しているデータを並べると、5年後に何が起きうるかが、かなりはっきり見えてきます。そして、外国人材を検討している会社にとっては、もうひとつ知っておくべき論点があります。
特定技能には、国が決めた受け入れの上限があります。そして2026年、実際に上限に達して新規受け入れが止まった分野が出ました。
- 建設業の就業者数と年齢構成の、いまの実数
- 単純計算で見た、5年後に起こりうること
- 建設業で働く外国人材が、どこまで増えているか
- 特定技能の「受入れ見込数」が上限として機能している事実
- いま建設会社が取れる、3つの現実的な選択肢
📑 目次
1. まず、いまの建設業の就労人口は?
予測の前に、事実から始めます。すべて国が公表しているデータです。
| 項目 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 建設業就業者数 | 約477万人(2025年平均) | 総務省「労働力調査」 |
| ピーク時(1997年) | 約685万人 | 同上 |
| 55歳以上の割合 | 約37% | 労働力調査(2024年) |
| 29歳以下の割合 | 約12% | 同上 |
ピークから約3割減った状態で、そこからさらに緩やかに減り続けています。そして就業者の3人に1人以上が55歳以上、29歳以下は8人に1人という構成です。
2. 5年後に起こりうること
ここからは予測です。上の数字から5年後の建設業就業者数を見てみましょう。
477万人 × 12% = 約57万人(29歳以下)
いま55歳以上の約176万人は、5年後には全員が60歳以上になります。そのうち相当数が、実際に現場を離れる年齢に入ります。一方、下から入ってくる29歳以下は約57万人。単純に頭数だけを比べると、3倍以上の開きがあります。
もちろん、60歳を過ぎても現役で働く方は大勢いますし、これは「5年で176万人が一斉に辞める」という意味ではありません。ただ、いまの若年層の流入ペースでは、抜ける分を埋めきれない可能性が高い——この方向性は、どう計算しても変わりません。
しかも、この5年間で工事がなくなるわけではありません。老朽インフラの更新、災害復旧、大規模再開発。仕事は残り、担い手だけが減っていく。これが、多くの会社がこれから直面しうる状況です。
3. 外国人材は、すでに「例外」ではありません
では、実際に建設業で外国人材はどこまで入ってきているのか。こちらも公表データがあります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 外国人労働者総数(全産業) | 257万1,037人(2025年10月末)。前年比26万8,450人・11.7%増で過去最多 |
| 特定技能の在留者数(全分野) | 39万296人(2025年末) |
| うち建設分野 | 5万1,122人(前年比32.5%増) |
| 建設分野の国籍1位 | ベトナム 3万1,712人(約6割) |
建設分野の特定技能は、1年で3割以上増えています。「うちはまだ考えていない」という会社の周りで、すでに動き始めている会社がこれだけあるということです。
4. 見落とされがちな話——「枠」には上限があります
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。
特定技能は、いくらでも受け入れられる制度ではありません。2024年3月の閣議決定で、2024年度から2028年度までの5年間の受入れ見込数が分野ごとに定められています。
- 全分野合計:82万人
- 建設分野:8万人
そしてこの「見込数」は、単なる目標値ではありません。運用上の上限として機能します。
実際に上限に達し、受け入れが原則停止した分野が外食業分野です。
外食業分野の上限は5万人でした。2026年2月末時点で約4万6,000人に達し、5月中に上限を超える見込みとなったため、2026年4月13日以降、新規の受け入れが原則停止されました。海外からの新規入国に必要な在留資格認定証明書は原則不交付、他の在留資格からの変更も原則不許可という措置です。
準備を進めていた飲食店は、そこで採用計画が止まりました。「来年から考えよう」と思っていた会社は、検討する機会そのものを失ったことになります。
建設分野は?
建設分野は上限8万人に対し、2025年末時点で約5万1,000人です。単純に引くと、残りは約2万9,000人。そして直近1年の増加率は32.5%でした。
この増加ペースがそのまま続いた場合、計算上は2027年中に上限に接近する可能性があります。
それでも、経営判断として押さえておくべきことははっきりしています。「必要になったときに採ればいい」という前提が、崩れる可能性があるということです。
建設分野は、他の分野より手続きが重い業種です。国土交通省の受入計画認定を取ってから入管に申請するという二段階で、就労開始まで半年前後を見ておく必要があります。上限が近づいてから慌てて動いても、間に合わない構造になっています。
5. 2027年4月、制度の入口も変わります
もうひとつ、時期が決まっている変化があります。技能実習に代わる育成就労制度が、2027年4月1日に施行されます。
いま技能実習生を受け入れている会社では、在留期限と施行日の関係で、特定技能1号への移行を早めに判断しなければならない方が出てきます。移行にも、JAC加入・CCUS登録・受入計画認定という同じ手続きが必要です。
いま社内にいる実習生の在留期限を一覧にして、逆算する。ここから始めてください。期限の3か月前に気づいても、建設分野では動けません。
6. いま取れる選択肢は3つです
- 受け入れ体制だけ先に作っておく
CCUS事業者登録とJAC加入は、採用が決まる前でも進められます。ここまで済ませておけば、人が見つかったときに受入計画の申請からスタートできます - いる実習生の在留期限を洗い出す
移行させるのか、させないのか。育成就労の施行日から逆算して、いま判断する必要がある方がいないか確認してください - 賃金体系を先に整える
建設分野は月給制が必須です。日給制のまま採用を決めても進みません。日本人技能者の処遇とあわせて、先に設計しておくべき部分です
いずれも、外国人材を採ると決めていなくても着手できることです。そして、決めてから始めると間に合わないことでもあります。
まとめ
- 建設業就業者は約477万人。55歳以上が約37%、29歳以下が約12%
- 単純計算で、5年後に抜けうる層と入ってくる層には3倍以上の開きがある
- 建設分野の特定技能在留者は5万1,122人。1年で32.5%増えている
- 建設分野の受入れ見込数は8万人。この数字は運用上の上限として機能する
- 2026年4月、外食業分野は上限到達により新規受け入れが原則停止された
- 建設分野は手続きに半年以上かかる。動くなら、枠が見えているうちに
まだ決めていない段階で、ご相談ください
みらいリンクでは、建設業のバックオフィス実務を12年、外国人支援を8年経験したスタッフが、「そもそも自社に必要なのか」というところから一緒に考えます。
- 自社が何人受け入れられるか(常勤職員数による人数制限)を確認します
- CCUS登録、JAC加入、受入計画認定のスケジュールを逆算して組み立てます
- いる技能実習生の在留期限を整理し、移行の要否を判断します
- 月給制への移行を含めた、賃金体系の設計をお手伝いします
- 在留資格の申請手続きは、提携行政書士と連携してご案内します
採用すると決めていなくても構いません。「うちの場合どうなるのか」を知っておくだけでも、判断できることが増えます。
TEL:080-2156-4599
Mail:info@ny-partners.jp
※本記事は2026年8月時点の公表資料に基づいて作成しています。主な出典:総務省「労働力調査」、国土交通省「建設業を巡る現状と課題」、厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」、出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」および「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」、令和6年3月閣議決定「特定技能の受入れ見込数の再設定」。本記事中の5年後に関する記述は、公表された実績値を単純に延長した計算であり、将来を保証するものではありません。数値は公表のたびに更新されるため、最新値は各府省庁の公表資料をご確認ください。


